DIY Bluetooth Speaker

Bluetoothスピーカー自作のアレコレを書き綴ってみるブログです

電源その2 18650の1s構成は使い物になるのか

2ヶ月も放置してなにやってんだオイ。

遊んでたワケじゃないんすよ忙しかったんすよ合間に実験とかしてたら記事書く時間全然作れなかったんですよええすんませんイイワケです。

前回電源周りの記事書いたけど、やっぱアクセスが多い。ってことで実際にやってみたことを記録しておこうかと。

個人的に、Bluetoothスピーカーで大音量が必要になることシーンは稀で、5w程度もあればなんとかなる。ってことで5v以下の低電圧・小音量のアンプボードを使いたくなるんだけど、5vのアンプボードはノイズ多かったり低音出なかったりと、正直イマイチな評価のものが多い。

とはいえ、音質的にそれなりに評価されてるアンプボードは数十wの大出力のものが多いBluetoothスピーカーにとってはオーバースペックだし、ましてやそれをバッテリー駆動させるのはなかなか厳しい

ということで、自作のBluetoothスピーカーをバッテリー駆動させるのに現実的なラインを探ってみたという、このブログらしからぬ有益な記事

一応、電源関係の回路考えたりすんのメンドクセって人向けにモバイルバッテリー使った場合もまとめます。まず簡単なモバイルバッテリーからちゃちゃっと。

5V1A出力モバイルバッテリーの場合

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これは考えるまでもない。5V1A=5wだからね。5v以下の低電圧駆動に対応したアンプでしか使えないと思っていい。このクラスだとLM386、PAM8403/8406あたりが選択肢になる。

実際に使ってみたのはPAM8406のボードを2種類。電源がONになってるのに気付かないくらいローノイズで、音もクリア。ただ、低音は出ない

EQとかで低音持ち上げればいいじゃん、と安直に考えてやってみたけど、低音成分が増えると音が割れる。ボード2種類試すことになったのはそれが理由。どっちも同じ挙動で、電源に余裕持たせてみても大差ないので、そういうモンなんだろうと理解した。

5V2〜2.4A出力モバイルバッテリー

数字上は10〜12wの電源出力。これなら多少昇圧してもイケる……か?そもそも内蔵バッテリーの3.7vから5vにステップアップしてるはずでさらに昇圧ってどうよ?ってことで軽く実験。

とりあえず昇圧2段重ねになるのは無視して、手元にあったELECOMの2.4A出力対応モバイルバッテリーに昇圧回路繋いで、一応平滑用に2200μFのコンデンサかまして12v化。使ったのはTDA7297搭載の15wステレオアンプを片chだけのモノラルで。

やってみると一応普通に鳴る。音質的には5v駆動のものとは別物で、ちゃんと低音も出る。ただボリューム上げるとかなり速い段階で歪みはじめる。ステップアップを9vくらいまでにしておいた方が良さげな感じ。

PC内蔵スピーカーより迫力ある音でWeb配信動画等を楽しみたい、くらいならアリかも。一人暮らしの1ルームで音楽聴くのに充分と感じるかは人によるかなあ。

正直オススメしない。だって2A以上出力のモバイルバッテリーって数千円しない?手元に使ってないのがあるならいいけど、新たに買うくらいなら市販のBluetoothスピーカー買う(もしくは買ってバラシて中身流用して自作する)方がいい気がする。

18650の1s回路

さて、ここからが今回のメインディッシュ。

ぶっちゃけ、アンプボードを安定駆動させるだけなら、2sや3sにした方がいいに決まってる。屋外とかで大音量で使う予定があるなら、確実に複数セルをすすめる。

でも1sには1sの良さがある。

なんといっても大きいのは、スマホ用USB充電器やモバイルバッテリーで充電できるってこと。2sや3sで安定動作考えるとどうしてもACアダプターになるからね。ACアダプターいらないのは持ち出しのハードルを思いっきり下げてくれる。

使用アンプ

アンプボードは以下2種で試した。ただしTWS前提だったのでモノラルで使ってる。

TPA3118 60w ×1モノラルアンプ(8〜24v対応)

30w ×2のTPA3118をPBTLで60wにしたもの。60wなんていらないんだけど、基板上の抵抗(R27)をカットするとゲインが下がり、計算上は15w程度になる(多分)。

 

TDA7297 15w ×2ステレオアンプ(9〜15v対応)

TPA3118を使った時に高域に歪みを感じたので比較用に購入(実際にはアンプじゃなくてスピーカーユニット側の問題だった)。片chのみ使用。

モジュール構成

以下の構成で試した。

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図の赤線が電源のライン青線が音声ライン。TPA3118のボードがボリューム付いてなかったので、NE5532を使ったプリアンプというかトーンコントロールモジュールを噛ませてある。あとTPA3118のボードは入力がモノなので、1.5kΩの抵抗噛ませてステレオ→モノラル変換してる。

また、充電モジュールは5v1A出力の一般的なTP4056ではなく、TP5100のものを1sモードで使用(5V2A充電対応)。

あと、一応昇圧回路の後ろに平滑用にコンデンサ入れてみた。効果は知らんが。

18650は連続出力で10A以上出せるものも売られてる。とはいえ、あまり出力を大きく取るとバッテリー駆動時間が短くなる。バランスや入手可能なモジュールを考え合わせ、保護回路は連続出力5A maxのものにしてみた。

実際に使った18650は市販のBluetoothスピーカーから抜いたものなので出力等の詳細は不明。また昇圧モジュールのmax4Aというのが入力なのか出力なのか判然としない。入力4A前提で計算してみると

3.7v(バッテリー)× 4A = 14.8w

実際にはフル充電だと4.2v(4Aだと16.8w)程度、バッテリー減れば3v(4Aで12w)くらいまで下がる(面倒だから下がった時の電圧計ってない)。また、変換効率考えれば8割程度まで落ちるはずなので、14.8w × 0.8で大雑把に12wくらいの電源出力が上限になる計算。12v1A程度は期待できるので、どうにかなりそう。

※追記:
後日ざっくり計測してみましたが、満充電だと4.2vなのは確か。使用してくと、4.1〜3.9vくらいで稼働していることが多く、3.6vあたりを切ってくるとアンプが電力不足の挙動をみせます。実際に使うバッテリーの特性にもよると思いますけどね

実際に音出してみる

その1……TPA3118 +バッテリーのみで駆動

ステップアップで12vにして音出し。とりあえず普通に鳴る。

問題は15wほどのアンプに12w電源でどこまでイケるかってことなので、ボリューム(Bカーブだった)上げてく。ボリューム7割くらいまでは問題ない。

さすがにそれ以上突っ込むと割れるというか歪み始める。また7割くらいでもトーンコントロールで低音持ち上げ気味にしたり、音源の低音が強いと歪み感が出る。またその際、アンプボードについてるLEDもベースやバスドラに合わせて明滅する。ようするに電源足りてない。

その2……TPA3118 +バッテリーはずしてUSB電源のみで駆動

実際にこの状態で使うことはないんだけど、一応やってみた。TP5100が5V2A充電対応(出力が実際どうなってるのか不明だが、単純計算で10w)なので、バッテリー駆動より不利なはず。やってみると実際その通りで、早めに歪みはじめる。

そう思うと、バッテリー駆動時は実際12w程度の電源出力になってるのかも。

その3……TPA3118 +バッテリー + USB電源も繋いで駆動

バッテリー単体より向上するか/充電しながら使えるか、の2点の確認。

まず前者については別に変わらなかった。まあ昇圧回路(4A)が全体のボトルネックになってるはずなので、当然っちゃ当然。

後者については結構ビビリながらやった。というのは、以前2.1chアンプボードに2sバッテリー+TP5100充電モジュールの構成で試した時、熱でTP5100殺しちゃったから。

前回のエントリーで書いたけど、これを回避するにはリレー等で電源をマネージメントする必要がある。が、入力されるのが5v2a程度のUSB電源だとアンプ側でさえ電力不足気味なので、バッテリーが充電されないどころか減っていく可能性が高い。その場合、実際の運用はなかなか難しいってことになる。

恐る恐る試したところ、バッテリーがそれなりに充電されてる状態なら、特に不安な感じはない。実用域の音量であれば、鳴らしながら充電も進む。

ただしバッテリー残量が少ない状況だと、TP5100がかなり発熱する。壊れるとこまで追い込む度胸はないのでいったん中断。後日小型のヒートシンク取り付けて再挑戦したところ、これなら大丈夫ぽい。

音が歪む直前みたいな大音量だとわからないけどね(その音量で数時間鳴らし続けるとさすがに苦情来そうなので実験してない)。

これならなんとか実用できるレベルと言えなくもない感じた。

※追記というか訂正
後日再実験したところ、ステレオ音源を1.5kの抵抗入れてモノラル化した状態だと、入力ゲインが下がるせいかボリュームMaxでほぼ大丈夫でした。抵抗入れずに片chだけダイレクトにつないだ時に上記のような挙動を見せます。
この記事書いた時は、暇みつけて少しずつやった後、記憶を頼りに書いたので勘違いしてたっぽい。申し訳ない。

その4……TDA7297 +バッテリー

電源まわりの動作はわかったので、アンプボードをTDA7297のステレオアンプに変えてみた。TWS前提でユニット1発構成にしてるので片chだけ繋いで使用。とりあえずTPA3118と同じ12vで。

まず音質についていうと、TPA3118と比較して低音がやや抑え気味。また若干柔らかいというか、よく言えば温かく悪く言えば眠い(Bluetooth接続では気にならないかも。あとこっちの方が聴きやすいと感じることもありそう)。

また、TDA7297はアナログアンプなので、デジアンでよく言われるLPFとユニットの相性みたいなのがない。そういう意味では選択肢としてアリな気がする。

音量については、TPA3118よりも多少早めに歪みはじめる感じ。あくまでも聴いた感じの話で、測定したわけじゃないけどね。アンプの変換効率の違いか(TDA7297はけっこう発熱する)、ステレオ回路をモノで使ってるせいか、まあそんなトコな気がする。

3.7v→12vっていう3倍以上のステップアップだと、変換効率があんまり良くなかったりするか?って疑問もあったので、9vに落として試してみる。

12vと音質差があるかって言われると、ちょっと眠くなったかも?程度で大差ない。音量的には多少改善してる気がする。少なくともボリューム位置で言えば上げられる。ただ同じ位置なら駆動電圧低い方が音量取れないはずなので、実際は気持ち程度の差なのかも。でもまあ、この方が小音量時の操作性いいし、ギャングエラー出にくかったりもするかもしれないので、使うなら9vかなって感じ。

まとめ

10〜15wクラスなら1s回路でどうにかいける

ボリューム最大にはできないが、7割程度までなら充分使い物になる。集合住宅の場合、鉄筋コンクリート造じゃないと確実に苦情来るレベル。今回使ったTPA3118、TDA7297以外にもYDA138、PAM8610、TPA3110、TA2024など各種あるんで選択肢も広い。

※追記:
誤解されそうなので付記。これはスピーカー1発だけでモノラル出力した場合です。スピーカー2台接続してステレオ出力する場合、その半分(5w*2〜7w*2)程度だと考えてください。

実用上限は12v1A程度あたり……?

今回は昇圧回路の上限(4A入力)で12v1A程度だったけど、使うモジュール次第ではもっと出せる。ただ、その場合バッテリー駆動時間が短くなる。また、充電モジュールの上限で、充電しながら使うのが難しくなってくるかもしれない。そういう意味ではこれくらいが1S回路の実用上限なのかも。

逆にこれ以上の出力を求める場合、1s回路+スマホ用5v充電器での運用は厳しそうな感じ。その場合、変に悩むよりサクッと2s以上+ACアダプターに切り替えた方がいいんじゃないか……って感じの結果でした。