MaxSound Plusを使ってみて思うこと
ひさしぶりなのでもう1本。
というか、実はもともと前記事のレビューの中に書いてたんだけど、あまりにも言いがかりが過ぎるので別記事にした上で自作する人向けにちょっと加筆。
つまりわりと批判めいた内容も多いんだけど、この記事読んで「やっぱ買うのやーめた」とかなるのは間違い。サイズ感やコスト無視して突っ走れる自作Bluetoothスピーカー的な考え方をした場合の話だからね。
というか、製品レビューというより自作やチューニングに関連した内容なので、作る気ない人は読む必要なし。
電源まわりどうなってんだろな
まず別に批判でもなんでもない電源の話。
購入前から個人的に気になってたのが充電まわり。MaxSound Plusは充電ポートが5v 1.5Aってことになってる。つまり当たり前だけど入力される電力は7.5wしかない。これで24wどう出すんだろうなと。バッテリーemptyの時とかね。
ってことでやってみた。バッテリーemptyの強制電源OFFかかった後に、充電しながら最大音量で音出したらどうなるか。
……別に普通に使えました。
上部がちょっと発熱しますけどね。多少出力落ちたりしてるのかなあ。ちょっと聞いた感じ低音部が弱くなったような&多少音がごちゃついたような……感じ気がしなくもないけども、最大音量時の音をちゃんと記憶できてる自信もないのでちょっと曖昧。
あと音楽かけただけなので、ホワイトノイズみたいな電力消費的にガチな音入れてどうなるかは調べてない。そんな使い方する予定もないので調べる気もない(えー
24w出力を7.5wの外部電源で賄うってどうやってんだ?って気もするけども、そもそも一般的な音楽だと最大音量にしても24w要求するのは瞬間的。バッテリー側も、emptyといっても別に0vに落ちてるわけじゃないんで、強制OFFの閾値を多少高めの電圧(2Sなので7.0〜7.2vくらいとか)に設定しておけば実際にはバッテリーだけでも動くはず。その状態なら
音が小さい瞬間=消費電力少ない=バッテリーに電力が回り多少充電される
音デカイ瞬間=バッテリーの残り+外部の5v1.5Aで賄う
ってのが短時間に繰り返されてなんとかなる……ってことなんでしょうきっと。
ちなみに、この状態で使ってるとさすがに充電は進まない感じ。強制OFFにもならないので減ってもいないんだと思うけど。なので、音源次第では、長時間やってれば多少なりとも充電されてく可能性が高い。けど最大音量長時間チェックとか無理っす。そこまで気合入れて調べる気もないし。
というか、多少なりとも充電が進む状態or最低限維持される状態じゃないと、電源接続してもバッテリー減り続けて強制シャットダウンしないと危険な状態に陥るはず。
危険っつーのはつまり、バッテリーの電圧下がりすぎて過放電の保護回路が効く→外部からの7.5wだけになっちゃう→充電回路に容量を超えた電力請求がなされる=アンプが電力不足で歪むくらいならいいけど、充電管理チップが発熱で死ぬとか発火するとか。
もちろん、MaxSound Plusはじめ市販のBluetoothスピーカーはこんなこと起きないように設計されてる。電源接続してもバッテリー減り続けるってことは、よーするに強制電源OFFの閾値vに達するわけだから、自動で電源落ちるだけの話。
といってもそれじゃ実際には使いにくいから、わずかながらでも充電されるように、強制OFFの閾値を余裕持って高めに設定してるってことなんじゃないかと(予想)
前記事のバッテリー関係のトコで「バッテリーemptyで強制OFFとか自作じゃ難しいよね」って言ったんだけど、強制OFFされないと上記の危険がつきまとうので、自作する場合は注意してね。
音質について思ったこと
電源の話から入ったから、レビュー期待した人はそろそろ退散した頃合い。ってことで小型Bluetoothスピーカーであることを無視した音質についての話。何度も言うけど完全に言いがかりだからね。
低域の落ち方はこれでいいんだろうか
まずわかりやすいf特的な話から。
このMaxSound Plus、スペック見ると低域は80Hzまで再生ってことになってる。ただ実際には70Hzあたりまで出てそうな感じ。このサイズのBluetoothスピーカーとしてはわりと優秀。Flip4あたりと同程度ですかね。
ただ気になるのが、低域の消え方。いわゆる低音のキレとかではなくて、再生限界より下の音の処理の話。
ラインレベルでHPF入れてるのか2枚のパッシブラジエーターの影響か、かなり極端な落ち方をする。ポート周波数以下がばっさり落ちるバスレフスピーカーの感覚よりさらに急激な感じ。なので、低い音使いまくってる音源だとけっこうな違和感がある。
ちなみに、70〜80Hzってのは楽器で考えるとベースの2弦開放のDくらい(3弦5fでもいいけど)。昔は低めのベース音使う時は倍音多めの音作りしてることが多かったけど、00年代後半くらいからsine波に近いような音でも平気で使われるようになってきてるでしょ。その手の曲を再生すると3〜4弦の守備範囲に入った途端、急激に聞こえなくなる。
Benny Blanco&Juice Wrldの『Roses』なんかを聞くとよくわかる。これ、歌詞でいうと2度目の「Roses are red〜」の時に4弦開放のEがどーんって出て、次の「Violets are blue」の後に4弦12フレ(1オクターブ上のE)叩いて戻るんだけど、4弦開放=40Hzくらい=アタック以外ほぼ音聞こえない→4弦12f=80Hzくらい=急にがっつり出るって感じで、めちゃくちゃ違和感。
仕様で80Hzまでって言ってるんだから、別にいいんですけどね。ドライバの再生能力はもちろんアンプのパワーや消費電力、カップリングコンデンサの都合なんかもあるんでしょうけど、もう少し緩やかな落ち方だとよかったんだけどなーっていう。
イヤまあ、言いがかりですよ。実際ハンディサイズのBluetoothスピーカーでこの曲違和感なく再生できるのないからね。ただ70Hzくらいまではしっかり出してるぶん、かえって違和感強くなっちゃってる気がしないでもない。
こういう現象が起きる曲って、打ち込みでベース音作ったEDM系に多いと思いきや実はそうでもなくて。Jazzなんかでもウッドベースでやわらかなフィンガーピッキングされちゃうとダメ。急に音消えたり出たりする。
逆にBillie Eilishの『bury a friend』みたいに、おいちょっとそこのオマエ70Hz以上の音何回出した?ってツッコミたくなるような変態Mixだと、そもそもほとんどベース聞こえないのであんまり気にならなかったりする。
難しいよねスピーカーのチューニングって。
それから、ダイナミクス
これも仕様に出てるんだけど、S/N比が80dB。ちなみにCDは仕様上90dBくらい。半分以下とも言える。
ノイズがあるわけじゃないですよ。むしろホワイトノイズなんてないに等しくて、電源入ってるかどうかはLED見ないとわからない。
じゃあどういうことかっていうと、縦方向の分解能が低いって言うと伝わるんでしょうか。bit深度が浅い感じ。16bitの音源を14bitくらいにした感じ。つまり平坦に聞こえる。ラジカセ的というか。
これ、聴いたことのある市販のBluetoothスピーカーのほとんどがそうなんだよね。前はなんでこんな感じなのかイマイチわからなかったんだけど、USB-SPI使ってCSRのBluetoothチップの内蔵DSPいじるようになって具体的に見えてきた。
小型ユニット&小型筐体で下まで鳴らそうとする場合DSPでの補正が必要なわけだけど、低音足りないからってPEQで無理やり持ち上げると、DSP内部でデジタルクリップしちゃうんですよ(まあ内部処理は24bitとかだろうからある程度は許容されるぽいけど)。なので、どちらかというと低域以外を下げる感じになる(実際には低域を持ち上げて、歪まないとこまでトータルを落とす)。
DSP入れない素の状態でもそれなりに低音出てるなら、補正も少なくて済むから多分気にならない。けど、いかんせん45mmのユニット+500mlに満たないエンクロージャー。多分素の状態だと200Hzあたりからダラ下がりで150Hz出てれば御の字な感じじゃないかと。これを80Hzまで伸ばすってのは、パッシブラジエーターの補助があるとはいえ、かなり極端なカーブになっちゃうはず。
結果として、低域以外はかなりレベル落とした状態になる。で、デジタル処理でレベル落とす=ビット深度浅くなるってことなので、ダイナミクスが狭くなるってことなんじゃないでしょーか。
とかさんざん語っておきながら、音量のとこでもちょっと触れたようにダイナミクス系エフェクトの掛け方の問題かもしれないけどね。なんとなく、1:1.5〜1.8くらいのゆるやかなコンプがかかってるような気がしなくもない。
ってまた繰り返すけど、MaxSound Plusに限った話じゃないですよと。
で、自作。
結局、こういう「Bluetoothスピーカーぽい音」に満足できない人は、最低でもブックシェルフくらいのサイズの高額機を買うか、自作するしかないよねっていう。
でも自作しても、小径ユニット&小型筐体だと同じような問題に当たるんだよね。低域足りない〜とか、補正かけてみたら音死んでる〜、とか。DSP弄ってみても、調整はあくまで調整だから限界がある。
EQ処理をアナログ段でやればダイナミクス低下はある程度避けられるけど、極端に低域持ち上げてそのままアンプに突っ込んだら、まあ歪むよね。なのでトータルゲイン下げる→全体の音量低下→大きめのアンプで鳴らすことになる→電源も大きくしなくちゃいけない→バッテリーの直列もう1本増やすか……とか。
もっと言うと、こういうのが気になっちゃう人はアナログEQ挟むことによる音質劣化も気になっちゃうと思うんで、EQで使うコンデンサにはちゃんとしたフィルムコン使って抵抗も音響用のヤツを……などなど、キリがない&莫大なコストがかかる&それらがエンクロージャーの内容積も圧迫しちゃう。ぶっちゃけ現実的じゃない。
一番の解決策は、まあいいや手軽に聴くためのBluetoothスピーカーだからねーって諦めること(えー
それが嫌な場合、素の状態でほぼOKな音になるように、小型化諦めてユニット径とエンクロージャーの容積を上げちゃおう。ぶっちゃけ音にこだわるならそれが一番手っ取り早い。
逆に言うと、ハンディサイズだと自作で音質追求するより、市販品買ったほうが高音質&安上がりになることがほとんどなんじゃないかと。
筐体デザインや自作という行為そのものに強いこだわりがない人以外は、素直に市販品買った方がいいっすよ多分。
ってこのブログの意義を全否定して製品レビューの締めとさせていただきます(死