Step2:ラフに設計してみる・その1
前回のエントリで僕の考えるBluetoothスピーカー自作の進め方を書きました。ってことでそのStep2、ラフな設計をしてみます。設計といってもいろんなことがありますが、以下の項目に分けて進めるといいと思います。
- スピーカーユニットの数・配置を決める
- エンクロージャー方式の決定と筐体のラフスケッチ
- 使用ユニットの検討
- ラフを修正しながら、操作系の配置案作成
分けて書くと面倒そうですね。実際には頭でイメージするだけなのでさくっと終わります(説明は長いですが)。1と2は逆でもOKだと思います。音質うんぬんよりも「自分でデザインしたプロダクト」を作りたいって方はむしろ2から入るでしょう。
それでは、個別に説明していきます。
※思ったより長い記事になってしまったので、2以降別記事にしました
1.スピーカーユニットの数・配置を決める
フルレンジかマルチwayか……ではありません(いやそれもありますが)。最終的にマルチにするとしても、まずはフルレンジとして配置を考えて下さい。
ん?どゆこと?
と思っちゃった方は多分パッシブスピーカー自作の感覚なんだと思います。以前にも書きましたが、Bluetoothスピーカーは複数のユニットを近距離に配置しますので、ラジカセ的な音場になります。ヘタするとモノラルスピーカーと大差ない。TWS(2台でのステレオリンク再生)を前提とする場合はそれでも問題ありませんが、そうでなければユニットのレイアウトが重要です。
いくつかの例を上げて説明していきます。まずはユニット1個タイプから。あ、型名は僕がテキトーに付けただけなのでテストには出ません無視していいです。
※パッシブラジエーターはとりあえずここでは「スピーカーユニットではない」と考えて無視。あくまでフルレンジとしての配置を考えます
1ユニットタイプ
Mono1発型
可搬性を重視、もしくはコストを重視、あるいは小さな筐体になるべく大きな口径のユニットを載せたい場合等に。ユニット2つ載せてもモノラルと大差ないなら、1点豪華主義の方がいいんじゃね?的な考え方ですね。この場合は配置うんぬんも考えなくていいです。
同じMono1発でも次のようなモデルがけっこうあります。
Mono1発+リフレクター型
ユニット自体はモノラル1発。上向きもしくは下向きにして、その先にリフレクタを配置したタイプ。円筒型で360°サウンドを謳うものに採用例が多いです。リフレクタは複数ユニットのものでも採用されたりしますが、キリがないのでここだけにしておきます
2ユニットタイプ
スタンダードなL/R正面配置型
左ch、右chの二つのユニットが正面を向くスタンダードタイプ。本体を横長に置いて使うタイプの多くはこの方式。一応ステレオで再生されますが、前述の通り音場が狭いのがネックです。
L/R180°配置型
L/Rのユニットを背面あわせで配置。たしかUE Boomなんかがこの方式。立てて使う前提の円柱型などで採用されることが多いようです。広い音場が得られるのがメリット。ただ、本体正面で聴く=ユニットを真横で聴くことになってしまう&片側ユニットの正面で聴くと逆側の音が聴きにくい、という変な状態にもなります。
またこの配置の場合、「どこでも同じように聴こえる360°サウンド」みたいな方向を狙い、L/RではなくMono ×2にしている製品も多いようです。
実際の製品ではスペースの関係から縦にオフセットされることも多い。
L/R90°配置型
音場が狭い正面配置と、音場は広いがおかしくもなる180°背面合わせの間。性質的にもその間。本体の正面で聞く限り比較的自然な音質・音場で聴けます。実際には90°以外ものもありますが、キリがないので90だけにしときます。
とまあ、「自然な音」「広い音場」の両立がなかなか難しいんですね。そのため、ユニットの数増やすことも多々あります。ということで、次はよくある4ユニットのパターン。基本的には左右のchをそれぞれ2台にすることがほとんどのようです。個人的にスターウォーズに敬意を払ってR2L2と呼んでます(嘘)
4ユニットタイプ
スタンダード+180°背面合わせ
正面ユニットがメイン+音場を広げるためのサイド、という考え方と、サイドがメイン+正面でのf特補正用に正面ユニット、という2つの考え方があると思います。
90°x4型
この配置してる市販Bluetoothスピーカーがあったかどうか覚えてませんが……考え方的にはアリな気もします。並べ方をL/R/L/RにするのかL/L/R/Rにするのか難しいトコ。
Array型
これも市販のBluetoothスピーカーにはなかった気がしますが、業務用や据え置き型スピーカーには存在してますね。ユニットが4つとは限りませんが、それぞれの角度をすこしずつずらして配置。全体の角度は120°だったり90°だったり、横並びではなく縦スタックだったり。筐体の形状とあわせて面白いものができそう。
その他
3ch型
マルチwayはとりあえず考えないといっておきなら、一応これだけ。いわゆる2.1ch構成。ただこれ、フルレンジ×2 + サブウーファーの一般的な2.1ch(GGMM M4等)とは限らず、ツイーター×2+モノラルウーファー×1(Audiopro Addon シリーズ等)や、ツイーター×2+モノラルフルレンジ×1(UE ROLL等)など、色々な構成があるようです。Rollはツイーターに角度も付けてるか。
市販製品の代表的なレイアウトを見てきました。まだまだ色んな配置の仕方があると思います。手元になんかのスピーカーがあるようなら、距離や角度を色々変えて遊んでみるのもいいかもしれません。
どのレイアウトを選ぶべきか
選択基準は好みで構いませんが、一応選び方のオススメ書いておいてみます。
ステレオ感あんまり気にしない。手軽に作りたい
→L/R正面配置
しっかりしたステレオ感必須。定位もビシッと決めたい。
→Mono1発、もしくはL/R正面配置。TWS対応で2台作成
1台である程度のステレオ感が欲しい
→L/R 90°配置、または正面配置+180°の4ユニット
どの角度から聴いても同じ感じで聴こえたい
→Mono+リフレクター。もしくは180°背面合わせでMono ×2化
とにかく低音重視!
→3ch型。内ひとつは3インチ以上のユニットで
マルチway構成にしたい場合
フルレンジとしての配置が決まったら、マルチwayを検討してみても面白いと思います。その場合、フルレンジとしての配置ベースにここの部分を2way化、と考えた方がスムーズです。例えばこんな感じ。
- スタンダード+180°背面合わせの4ユニットを選択
- 正面部分は2way化
- 結果、正面[ウーファー×2+ツイーター×2=4ユニット]+サイド[フルレンジ2本]の全6ユニット
みたいな感じです。Riva Sなんかは確か上記の6ユニットにサブウーファー足した7ユニットだったような(違ってたらすみません)
また、この段階でウーファーはお気に入りのこのユニット、ツイーターはコイツをセレクトして……とかやってしまいがちですが、その場合筐体デザインの制約が大きくなります。筐体のデザインにある程度こだわりがあるようでしたら、具体的なスピーカーユニットの選択は後にしましょう。
想定してたより長い記事になってしまったので、筐体に関する部分等、別記事にします。ではまた。